プラズマ農業応用

現在実用化されている導入法では、植物細胞にタンパクを直接導入することが非常に困難です。また、主食となる単子葉植物への遺伝子導入も難しいのが現状です。この研究ではプラズマを用いることで、短時間に行える高効率で低侵襲な導入法の確立を目指しています。 これまでの研究により、タバコカルスへのCas9タンパクの導入に成功し、単子葉植物であるミナトカモジグサカルスへの蛍光分子の導入も確認されています。また、細胞表面の観察やエンドサイトーシス阻害による導入機序の解明にも取り組んでいます。

プラズマ処理により蛍光分子が導入されたミナトカモジグサカルスの蛍光写真(左)とカルス表面のSEM観察結果(右)

プラズマ水産応用

ゲノム編集技術の進歩により養殖魚の品種改良が注目されていますが、Cas9等のゲノム編集ツールを高効率、低侵襲で大量一括導入処理可能な技術はまだ確立されていません。 そこで本研究室では、動物細胞への遺伝子導入で実績のあるマイクロプラズマ技術を応用し、沿面放電を用いた魚卵への分子導入技術の研究をしています。 愛媛大学南予水産研究センターで完全養殖を行っているスマの魚卵に対して沿面放電処理を行った結果、孵化前後の稚魚に蛍光分子が導入されていることを確認しました。 現在他の魚種への適用および導入効率の高効率化を目指し研究しています。

プラズマ処理により蛍光分子が導入されたスマ稚魚の明視野写真(上)と暗視野蛍光写真(下)

プラズマ成長促進

世界の水産物消費量は年々増加しており、持続可能な水産業の確立には養殖業の拡大が必須です。本研究室ではプラズマによって発生した活性種を養殖魚(ナイルティラピア)に供給することで、成長促進の効果が確認しました。 これまでは淡水魚を対象にしてきましたが、令和3年度から海水魚や貝類での実験も開始しています。プラズマ活性種がどのようなメカニズムで成長促進に作用しているのかの解明や、品質や栄養への影響を検証していきます。

飼育用水槽および通常のティラピア(上)とプラズマ処理気体供給水槽のティラピア(下)